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ベトナムの格安賃貸物件に潜む注意点:居住登録と営業許可に要注意

目次

ハノイへの赴任や移住を控え、できるだけ家賃を抑えたいと考える日本人の方も多いでしょう。実際、ハノイ、ホーチミン市内には月300〜500USD程度(日本円で約4〜6万円)の格安賃貸物件が数多く存在し、魅力的に映ります。しかし「安さ」には理由があるかもしれません。その背景には、日本人が安心して住むために見逃せない重要ポイント、すなわち物件オーナーの営業許可と居住登録の問題が潜んでいます。本記事では、格安物件を借りる際に注意すべき点と、実際に起こりうるトラブル事例、そしてそれを回避するための専門家からのアドバイスを詳しく解説します。新生活をトラブルなく始めるために、ぜひ参考にしてください。

格安賃貸の魅力とその裏にあるリスク

ベトナムには日本人に人気のサービスアパートだけでなく、個人オーナーが運営する小規模なアパートや下宿的な物件も多く存在します。家賃が月200~500USD程度のこうした物件は、初めての海外生活で予算を抑えたい駐在員や現地採用の方にとって大変魅力的です。ところが、格安物件には「裏のリスク」があることをご存知でしょうか。

最大のリスクは、その物件のオーナーが外国人向けに必要な営業許可(貸家営業ライセンス)を持っていない場合があるという点です。ベトナムの法律では、外国人が住宅を借りる場合、貸主(オーナー)は入居した外国人の情報を公安(警察)に24時間以内に届け出て居住登録を行う義務があります。しかし、安価な物件の中には外国人を居住させる許可(営業ライセンス)を得ていないオーナーや、手続きが面倒で届け出を怠るオーナーも存在します。そうした物件では正式な居住登録ができず、入居者である外国人は無登録滞在という扱いになってしまうのです。

無登録の状態でいることには大きなリスクがあります。居住登録がされていないと公安発行の居住証明書(テンポラリーレジデンス証明)が取得できず、労働許可証(ワークパーミット)やビザ更新の際に必要となる書類が揃わない事態に陥ります。実際、貸家営業ライセンスを持たない“なんちゃってオーナー”の物件を借りてしまったために、公安から居住証明書を発行してもらえず、結果としてワークパーミットを取得できなくなってしまった日本人の方も後を絶ちません。つまり、「格安物件を借りたらビザが延長できなくなった」「労働許可証の申請に必要な書類が揃わず困った」といったトラブルが現実に起こり得るのです。

さらに、オーナーが正式な許可を持たず税務申告等をしていないケースでは、「家賃のレッドインボイス(税務領収書)は発行できない」と言われることもあります。レッドインボイスは事業登録を行なっているオーナーは発行可能です。サービスアパートはレッドインボイスが発行出来るところをお勧めしていますが、コンドミニアム(個人オーナー)の場合はレッドインボイスが発行出来ない物件も多いです。赤インボイスが出せない=非公式な賃貸というわけではございません。オーナーが居住用の物件営業を登録していて、所得申告の納税をしている証明書(納税証明書)で賃借人がVAT控除を行えます。(税務署通達で確認済み)

実際にあったトラブル事例:居住登録できずビザ更新に支障

では、具体的にどのようなトラブルが起こり得るのでしょうか。ここでは、架空ではありますが実際に起こりうるケースとして、日本人入居者の体験談を紹介します。

ケース:現地採用のAさんの例
新卒でハノイに赴任したAさん(20代・男性)は、初任給が高くなかったこともあり、月約400USD(約4.4万円)のアパートを自力で探して契約しました。オーナーはベトナム人の個人大家で、「日本人歓迎、安くするよ」と親切に対応してくれ、英語での契約書にもサインして入居開始。ところが入居後しばらくしてAさんが会社を通じてビザ延長の手続きを行おうとした際、必要書類の一つである公安発行の居住証明書が用意できないことが判明しました。オーナーに問い合わせると明確な答えが得られず、実はオーナーが貸家営業の許可を持っておらず外国人居住者の登録手続きをしていなかったため、Aさんの居住は公的には「未登録」扱いになっていたのです。

この事態にAさんは大慌てです。ビザ延長の期限が迫る中、居住登録がないままでは延長手続きが進められません。最悪の場合、ビザの延長が認められず一度日本へ帰国し再入国しなければならない恐れすらあります。会社にも迷惑がかかるため、Aさんは急いで信頼できる不動産仲介会社に相談しました。仲介会社を通じてオーナーと交渉した結果、遅ればせながら公安への届け出手続きをしてもらい、なんとか居住証明書を取得。ビザ延長は間に合いましたが、Aさんは「二度と安さだけで物件を選んではいけない」と痛感したといいます。

このケースは架空のエピソードですが、内容は決して他人事ではありません。実際に「居住登録ができない物件に住んでいたためにビザ更新に支障が出た」「労働許可証の取得が大幅に遅れた」といった話は、ハノイ在住日本人コミュニティでも耳にするところです。また、場合によっては警察(公安)による抜き打ちの居住者チェックが行われ、登録のない外国人に罰金が科されるケースも報告されています。事実、2024年にはあるコンドミニアムで外国人居住者に対する一斉取り締まりが行われ、居住登録をしていなかった外国人に対し一人当たり約100万ドン(約6千円)の罰金が科されるという事例も発生しました。運良く罰金だけで済めばまだいいですが、ベトナムの法律上は無登録の外国人に対し国外退去(強制送還)を命じることすら可能であり、現実に「発覚したら罰金や賄賂で解決せざるを得なかった」といった笑えない話も存在します。このように、居住登録を怠ることのリスクは非常に大きいのです。

居住登録とベトナムの最新動向:法律の厳格化と取締り強化

なぜ居住登録がこれほど重要なのでしょうか? 背景にはベトナム政府の法律および運用の厳格化があります。ベトナムでは2014年施行の入出国管理法により、外国人は滞在期間に関わらず居住地を管轄の公安に届け出ることが義務付けられています。貸主は外国人入居者を受け入れたら都市部では12時間以内(その他地域でも24時間以内)に公安へ届け出を行わなければならず、これは貸主側の法的義務です。届け出がなされなければ、入居者である外国人は「無登録滞在」とみなされ、違反として罰則の対象となります。罰金だけでなく、法律上は最悪国外退去処分もあり得る厳しい規定です。

こうした法律自体は以前から存在しましたが、近年になって運用が一層厳格化されてきています。特に2023年後半以降、外国人の居住状況に対する当局のチェックが厳しくなりました。例えばホーチミン市では2023年8月から、外国人が滞在するすべての宿泊施設や賃貸住宅を対象に、外国人の一時滞在(居住)登録状況を一斉点検するキャンペーンが実施され、登録を怠ったオーナーに罰金処分を科す方針が打ち出されています。また、公安当局は各住宅やマンションの管理者・オーナーに対し、外国人居住者の滞在申告を徹底するよう呼びかけるなど、取り締まりを強めています。ハノイにおいても同様に、外国人が多く住む地区を中心に無許可の賃貸や未登録の居住者に対する監視が強化されているとみられます。

さらに近年の動向として、一度居住登録をしていても外国人が一時帰国や出張でベトナム国外へ出た場合、再入国時に改めて居住登録をやり直す必要があるという解釈が強まっています。これは2023年8月の法改正(入出国管理法の改正)によるもので、以前は黙認されがちだった「再入国時の再登録」が厳密に求められるようになりつつあります。実際、「一時帰国後に再登録を怠ったため、ビザ更新の際に勤務先企業が罰則を受けた」という報告もあるようで、企業側・入居者側双方に緊張が走っています。

このように、ベトナム政府は外国人の居住実態を正確に把握し、不法滞在や犯罪行為を防止する目的で法の運用を厳しくしているのです。公安の居住登録システムは入出国の記録(パスポートのスタンプ情報等)とも連動しており、居住登録と実際の出入国履歴に矛盾があると指摘されるケースも出ています。言い換えれば、「ちゃんと届け出をしているかどうか」はビザや在留資格の管理と直結する重要事項となっているのです。ベトナムで安心して生活するためにも、こうした最新動向を踏まえて居住登録の重要性を改めて認識しておく必要があります。

貸家営業ライセンスの台帳の例
オーナーが正式に貸家営業ライセンスを取得している場合、居住者の情報を記録しています。(現在は公安のオンラインで登録)が用意されており、各入居者の氏名や部屋番号情報が登録されます。この台帳に自分の名前が記載され登録があれば、その物件で正式に居住登録が完了している証拠となり、オーナーは入居者のために公安発行の居住証明書を問題なく取得することができます。逆に言えば、登録がない物件は居住登録が未完了であり、そのままでは入居者は「住所不定の外国人」という扱いになってしまいます。ベトナム当局はそうした外国人に対して労働許可証やビザ延長を交付するほど甘くはありません。

トラブルを避けるためのチェックポイント

以上のように、格安物件には居住登録不可という思わぬ落とし穴が潜んでいる場合があります。しかし事前にポイントを押さえておけば、そうしたトラブルは確実に回避できます。不動産仲介のプロの立場から、物件選びの際に必ず確認すべきチェックポイントをいくつかご紹介します。

  1. 貸家営業許可(ライセンス)の有無を確認する – 契約前に、必ずオーナーが外国人向け賃貸を行う営業許可を持っているかを確認しましょう。具体的には先述の貸家営業ライセンスの台帳を所持しているかどうかが一つの目安です。市が発行するこの台帳は、個人オーナーが正式に営業許可を得ないと交付されないものです。オーナーが「持っているよ」と口頭で言うだけではなく、「実物を見せてください」と遠慮なくお願いしましょう。仮にオーナーが渋ったり「銀行に預けてある」などと言ってはぐらかす場合は要注意です。最初が肝心ですので、納得できるまで確認するようにしてください。
  2. 居住登録手続きを行ってもらえるか契約前に確認する – 営業許可と密接に関わる点ですが、実際に入居した際に公安への居住登録を確実に行ってもらえるかを事前に確認しましょう。契約書にその旨を明記してもらう、もしくはメッセージで「入居後に公安への届け出をお願いします」と念押しし証拠を残すことも有効です。いい加減なオーナーだと口約束で済ませて手続きを怠ることもあり得ます。「外国人の居住登録をちゃんとしてもらえますか?」と率直に尋ね、それに対する回答を確認・記録しておくことが大切です。
  3. 契約相手が正式な所有者か確認する – 稀に、物件の真の所有者ではない人物(また貸しの借主や親戚など)がオーナーのふりをして契約を結ぶケースがあります。いわゆる「闇オーナー」に当たる存在ですが、本来の所有者から無断で転貸している物件では公安での居住登録ができず、当然レッドインボイスの発行も不可能です。契約書上の貸主名と物件の権利証明書(土地使用権証書など)を突き合わせる、仲介業者に確認してもらうといった方法で、契約相手が正式なオーナー(または正当に委託を受けた代理人)であることを確認しましょう。
  4. 入居後も証明書を受け取るまで気を抜かない – 入居したら終わりではありません。実際に居住登録が完了したかどうか、きちんと証明書を受け取って確認することが重要です。通常、居住登録が行われると公安から居住証明書(滞在登録証明)が発行されます(現在はオンラインで印刷)。紙の証明書をオーナーから受け取るか、あるいは最近ではオンライン登録システム上でデータが反映されるので、自身の登録状況をオーナーまたは管理会社に確認しましょう。証明書の受け取りまでがワンセットです。
  5. 信頼できる不動産仲介会社を利用する – ベトナムでの言葉の壁や法律手続きへの不安がある場合、専門の不動産仲介会社を通じて物件を探すことを強くおすすめします。仲介会社であれば事前にオーナーの営業許可の有無をチェックし、居住登録可能な物件のみを紹介してくれるため安心感が違います。加えて、契約から入居後の手続きまで日本語でサポートを受けられるため、土地勘や言語に自信のない方でも安全に契約を進められるでしょう。実際、「自分の身は自分で守る」のが基本ではありますが、不安な場合はプロである仲介業者を活用するのも有効な手段です。多少の仲介手数料が掛かったとしても、安心を買うと思えば安いものではないでしょうか。

まとめ:安心してベトナム生活を始めるために

格安賃貸物件には、価格の魅力と引き換えに「居住登録できないリスク」が潜んでいる場合があります。ビザ延長や労働許可証の取得といった重要な局面で不備が見つかれば、時間的・金銭的な損失は計り知れません。安さに飛びつく前に、ぜひ今回ご紹介したポイントを思い出して、物件選びに役立ててください。特にオーナーの営業許可と居住登録の可否は最優先で確認すべき事項です。

私たち不動産仲介会社としても、こうしたトラブルを未然に防ぎ、皆様が安心してベトナムでの生活をスタートできるよう日々サポートしております。当社では居住登録可能な物件のみを取り扱い、契約時にはオーナー側の許可や手続きを綿密にチェックしています。ご入居後も日本語でのアフターサポートを通じ、ビザ更新手続きなどで困ることのないようお手伝いいたします。「知らなかった…」では済まされない大切なポイントだからこそ、専門家の知識と経験を活用して、安全・快適なお部屋探しをしていただければ幸いです。

新生活が実り多いものになりますよう、物件選びの際はぜひ慎重に。そして必要とあれば、遠慮なく私たち仲介会社にご相談ください。安全な住まいから始まる快適なベトナムライフを、心から応援しております。