ハノイ・ホーチミン在住日本人のためのベトナム・バイク乗車ガイド

ベトナムではバイクが生活の足として欠かせません。しかし、日本とは異なる法律や手続きが多く、事前準備が重要です。本記事では、ハノイおよびホーチミン在住の日本人向けに、ベトナムでバイクに乗るために必要な運転免許証の取得方法、車両の購入・登録手続き、保険、交通ルール、整備・ナンバープレート、その他の法的留意点について詳しく解説します。最新(2025年時点)の情報に基づき、分かりやすくまとめました。 運転免許証の取得と切り替え手続き ベトナムでバイクを運転するには現地の運転免許証が必要です。日本の運転免許証はそのままでは無効であり、さらに日本の国際運転免許証(ジュネーブ条約に基づく)もベトナムでは使えません(ベトナムはウィーン条約加盟のため)。したがって、日本の免許をベトナムの免許に切り替えるか、現地で新規に運転免許試験を受けて取得する必要があります。 日本の免許をベトナム免許に切り替える方法 日本の運転免許を持っている場合は、所定の手続きを経てベトナムの運転免許証への書換え(切り替え)が可能です。以下が主なポイントです。 ベトナムの新様式運転免許証(表面)。2025年より写真直印刷・QRコード付きの新免許証の交付が開始。日本の免許から書換えた場合でも同様の様式で発行される。 外国人がベトナムで新規に免許を取得する方法 現地で新たに運転免許を取得することも可能です。ただし**受験には3ヶ月以上の滞在許可(ビザ)**が条件となります。手続きと試験の概要は次のとおりです。 排気量別の免許区分(A1・A大型 等) ベトナムのバイク免許には日本と同様に排気量に応じた区分があります。2025年1月に免許制度が改正され、一部名称や区分が変更されました。主な二輪免許区分は以下のとおりです。 補足:近年まではベトナムでA2(大型)免許を取得できるのは警察など特殊な職業の人だけでしたが、現在は一般の人も試験で取得可能です。2025年以降、日本の自動車免許(四輪)保持者がベトナムで大型二輪免許(A)試験を受ける場合、筆記試験が免除され実技試験のみで取得できるよう制度緩和されました。大型バイクに乗りたい方には朗報と言えるでしょう。 (※なお三輪車や小型農耕車両等にはA3・A4免許、自動車にはB・C・D…といった区分がありますが、本記事では割愛します。) バイクの購入方法と登録手続き(ブルーカード) ベトナムでバイクを購入したら、**名義登録(オーナー登録)**を行い、**車両登録証(通称「ブルーカード」)**を取得する必要があります。新車・中古車それぞれで手続きが異なるので注意しましょう。 新車を購入する場合 ハノイやホーチミンでは多数のバイク販売店があります。新車購入時の一般的な流れは以下のとおりです。 ブルーカードは日本の車検証にあたるもので、常時携帯が義務付けられています。警察に停止を求められた際や、売買・譲渡時にも必要になる重要書類なので、大切に保管してください。 中古バイクを購入(譲渡)する場合 中古車を買う場合は名義変更手続きが必要です。2017年から、譲渡を受けたバイクを旧所有者名義のまま使用することは違法となり、罰金対象となりました。そのため、購入後は速やかに以下の手続きを行いましょう。 バイク保険の加入義務と種類 ベトナムでも日本と同様に自動車・バイクの強制保険制度があります。交通事故時の補償のため、バイク所有者は第三者賠償責任保険(いわゆる強制保険)への加入が法的義務です。また必要に応じて任意保険に加入することもできます。ここでは保険の種類とポイントを解説します。 強制保険(自賠責保険) 強制保険とは、バイク運転中に他人を死傷させたり他人の財物を損壊した場合に、被害者へ一定の賠償を行うための保険です。加入が義務付けられており、未加入で運転すると違反となります。内容は日本の自賠責に似ています。 任意保険(オプション保険) 強制保険は補償額が非常に低く、実際の事故では焼け石に水です。そこで、必要に応じて**任意保険(自動車保険)**への加入も検討すべきです。任意保険は加入は自由ですが、加入しておくと万一の際に心強い保障が得られます。 ベトナムの交通ルールと違反時の対処 ベトナムの交通事情は日本と大きく異なります。法律上のルールを理解するとともに、現地特有の運転マナーや警察対応についても知っておきましょう。 交通ルールの基本(日本との違い) 警察の取り締まりと違反時の対応 ベトナムでは**交通警察(CSGT)**が主要道路や交差点で取り締まりを行っています。違反をした場合、外国人でも基本的にはベトナム人と同様に処罰されます。外国人だからといって優遇されることはありません。ここでは、万一警察に止められた場合の対処と心得を説明します。 ホイアン市で交通違反取り締まりを受ける外国人。ヘルメット非着用や定員オーバー、信号無視などで2024年に外国人46名に罰金が科された。警察は外国人にも違反切符を切り、バイクを貸し出したレンタル業者19件にも罰金処分を行った。 車両の整備・点検、ナンバープレートに関する実務 最後に、バイクの維持管理や関連する実務上のポイントを述べます。日本のような車検制度はありませんが、2025年以降新たな環境規制も始まっています。 以上、ベトナムでバイクに乗るための法律・手続き面のポイントを総合的に解説しました。日本と違う点が多く最初は戸惑うかもしれませんが、事前に知識と準備をしておくことで安心してバイク生活を楽しむことができます。くれぐれも無免許運転や交通法規違反はせず、安全第一で快適なバイクライフを送ってください。 参考文献・情報源:(在ベトナム日本国大使館領事情報、ベトナム現地メディア(Tuoi Tre News、VietJo等)、ベトナム交通法関連資料、現地生活者ブログ 等)他。