硬水?軟水?汚い?綺麗?ベトナムの生活用水について

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日本に住んでいる時は生活用水について気にすることはほとんど無かったと思いますが、海外で生活すると国や地域によって水の品質の違いを感じ、気になっている方も多いと思います。自分の住んでいるアパート以外でも口にする水。レストランやホテルはどうなっているの?気になることを書いてみようと思います。ブログ「ベトナムの水環境について」でもご紹介しています。

ベトナムは硬水?軟水?

ベトナムはご存知の通り南北に長く、ハノイとホーチミンでは水の性質も違います。ハノイは超硬水、ホーチミンは軟水です。硬水、軟水の違いは水に含まれるカルシウムとマグネシウムの含有量により変わり、多ければ硬水、少なければ軟水です。日本はほとんどの地域が軟水なのでホーチミンの水はそんなに違和感が無いかもしれません。いつも使っている日本のボディーソープやシャンプーの泡立ちも変わりません。しかしハノイ(全般的に北部)は硬水で日本の洗剤、ボディーソープ、シャンプーの泡立ちは悪いです。ホテルに備え付けのものは硬水で使用するための成分になっているため気になりませんが、日本から持ってきた場合は泡立ちが悪いと感じるともいます。日本人は軟水に慣れている為、敏感な人はシャワーで髪がきしむ、肌がかさつくとか感じる方もおります。短期滞在の場合はあまり神経質になる必要はありませんが、駐在で住む方はスーパーで売られているもの、ヨーロッパの製品などを選ばれると泡立ちと洗い上がりの切れも良くなるので現地のもを使用することをお勧めします。

ベトナムの水は汚い?

ベトナム人もほとんどの人が直接水道の水を飲む人はいません。日本の水道水の残留塩素濃度は0.1ppm以上と決められているそうです。実は日本の水道水の塩素濃度は他の先進国に比べて10倍以上のようです。ベトナムの水道水は残留塩素濃度の基準値が0.3-0.4ppmとのこと。これは日本のプールの水と同じくらいです。ちょっとプールの水を飲むのは。。。と思いますね。髪がきしむ、肌が乾燥するというは硬水だけが理由ではなく、この塩素濃度によることも影響があると思います。

レストランやカフェなどで使用する水はどうしているのか気になりますね。テーブル席のある建物のレストラン、カフェは料理に使用する水は浄水器を設置しているところが多いです。冷たいお茶、紅茶などの水も浄水器を使用しているところがほとんどです。ただ、食材を洗う水は水道水です。生野菜のサラダは水道水で洗っているので慣れていない方やデリケートな方はお腹をこわす場合もあると聞いています。ハノイを観光で訪れ、腹の調子が悪くなるのは私の経験では10人か20人に1人くらい。これは環境や気候によるものもあると思うので一概に水道水が原因とも限りません。

ベトナムの水道管はいまだ鉄製のものを使用しています。漏水率も高く、水圧が弱いのが特徴です。地中に埋まっているので水道管の中にも泥が混じることもあります。また、鉄製の水道管の錆も水に含まれてしまいます。大雨のときには雨水は下水の水も混じってしまうこともあるようです。水圧が弱いので集合住宅では地下に大型の貯水槽を設置して加圧ポンプで各部屋に供給するタイプが主流です。この一度水道水を貯めておく貯水槽の維持管理もきちんと行なっているかも大事です。何度か物件の貯水槽を拝見することがありますが、蓋を開けると「!!!」(言葉で表現するのは差し控えますが)なんてことも。決して綺麗な環境ではないですね。

ハノイの水道水の大きな供給源はダー川から取水しています。このダー川の源流は5000ドン裏側の絵に描かれているホアビンダム。この地域の土地はカルストといって大理石の山々から流れてきた水でカルシウム、ナトリウムを多く含んでいます。これが理由でハノイの水は超硬水になっています。

ダー川上流にあるホアビンダム

ホアビン湖の上流にはカルストの山々が広がっています

ベトナムの生活用水はどう使う?

それでも生活していく以上、水道水を使用しないわけにはいきません。旅行や出張などの短期であればすべてミネラルウォーターで過ごすという手もありますが、長期滞在となるとそうもいかないですね。

ウォーターサーバーを設置

一般的なコンドミニアムやサービスアパートにはウォーターサーバーが設置されています。タンクは19Lで1ヶ月に2個まで賃料に含まれるサービスがついていることが多いです。個人的な見解ですが、体に入る水は1人で19Lボトル2本で1ヶ月で足りると思います。日々、料理をされる方やご家族でご利用の場合は追加の注文が必要ですが、大体1ボトルあたり50,000から70,000ドンです。配送は3本から無料のところが多く、一番負担が少ない方法です。サービスアパートは清掃サービススタッフが残量がすくなくなると予備を置いてくれます。

一般的な室内設置タイプのウォーターサーバーは19Kgあるタンクを上部につけるのでちょっと重い

サーバーの下部にタンクをつけるタイプもあり、これは楽ちん。サーバー本体は5千円くらい高いです。

メリット

  • コストが低い
  • 導入が楽
  • 安定した品質

デメリット

  • 受け取り時に在宅が必要
  • 予備ボトルの保管に場所が取られる
  • 安すぎるボトル業者は水の品質が悪い
  • シャワーの水には使用出来ない

浄水器の設置

最近はたくさんのメーカーが浄水器の販売をしています。人気なのは日系メーカーのものですが、最近ではデザインや機能性、価格などで韓国系のメーカーの浄水器も人気です。工事が必要ない簡易設置のものからビルトインタイプ、お部屋の水道供給パイプに設置して浴室の水も浄水出来るタイプまでさまざまです。コンドミニアムやサービスアパートではオーナーが入居者のために設置しているところも中にはあります。

浄水機能のタイプ

  • 活性炭フィルター:水道水に含まれる塩素や有機物、臭いなどを吸着して除去する。 一番安価で簡単に設置できるが、ROフィルターに比べて除去率は劣る。
  • RO(逆浸透膜)フィルター:水道水を高圧で逆浸透膜に押し込んで、細菌やウイルス、重金属などの不純物を除去する。 不純物の除去率は約99%だが、水道水の約3分の2が排水となるため、使う数量以上の水道が必要で水道代が高くなる。 また、ミネラルも除去される。

メリット

  • ウォーターサーバーの予備ボトルのように場所を取らない
  • 水質が安定している
  • ボトルの注文で受け取りの在宅が不要
  • 浴室水道も浄水機能をつけることが出来る(水道管に設置タイプ)

デメリット

  • 自身で設置の場合は追加費用が必要
  • メンテナス(フルター交換等)が必要
  • メンテナスをしないと水の品質が低下する

ベトナム製逆浸透圧濾過タイプの浄水器は2万円弱で設置できます

日本製の活性炭除去タイプの浄水器も人気です

施設全体の水道水濾過システム

外国人が多く居住するサービスアパートの物件に設置しているアパートもあります。ここではHANA STAY RIVERSIDEのサービスアパートの3層濾過システムについてご紹介します。まずはハノイの水道管から送られた水道水を1層目の不純物フィルターで砂、泥や鉄錆などを取り除きます。3ヶ月に1回この不純物フィルターを清掃、交換しますが見てびっくり。こんなに泥が水道水に入っているんだと。次に2層目の活性炭フィルターで細菌、ウィルスなどを吸着します。残存塩素も吸着して塩素の含有率を下げます。ハノイの水道水はカルシウムの含有率が高く、水道管に付着して水圧の低下や詰まりの原因になります。ベトナムの水圧が低く感じる原因の一つにカルシウム付着による水道管の詰まりもあります。最後の3層目は塩化ナトリウム還元方式で水道水に含まれるカルシウム、マグネシウムを除去します。このシステムでハノイの超硬水を軟水にします。この濾過システムによって綺麗になった水道水を各お部屋に供給しています。

3本のタンクでそれぞれ水道水を浄化します

フィルター濾過の清掃中。床の茶色な泥が水道水を濾過して溜まったものです

まとめ

ベトナムの水事情は日本と比較して良くないですが、いろいろ対策することで安全に過ごすことが出来ます。短期滞在の場合は注意が必要ですが、駐在の人でずっとお腹を壊し続けている人は聞いたことがありません。多分数ヶ月で身体も適応するんでしょうね。生活するのに欠かせない水なので大事なポイントだと思います。物件選びの際の一つの参考にしてみてはいかがでしょうか。

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