ハノイ・ホーチミンの賃貸物件検索サイト

+84 024 3795 4290
日本語直通

Home » 住む » ベトナムでペット(犬・猫)を飼う方法
ベトナムでペットを飼う方法

ベトナムでペット(犬・猫)を飼う方法

目次

ベトナムで犬や猫と暮らしたい日本人の皆さんへ、現地でペットを飼う際に知っておきたい情報を網羅しました。ベトナムと日本のペット事情の違いも踏まえ、住宅環境や法律から動物病院、ペットホテル、必要な手続きまで詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

ベトナムにおけるペットの飼育環境

ベトナムでは近年ペット文化が急速に定着しつつあり、犬や猫を家庭で飼う人が増えています。2019年の調査によれば、約23%の世帯が何らかのペットを飼っており、特に犬を飼う人が23%、猫が15%と人気です。一世帯あたり複数のペットを飼う例も多く、2匹以上飼っている世帯は全体の40%と、日本(約23%)より高い割合でした。ペットは家族同然という意識が広がり、複数飼育で「仲間がいたほうが寂しくないから」といった優しい考え方も見られます。私がベトナムに赴任した2017年ごろはペットを飼う人は少なく、ベトナム人の実家などで犬猫を飼っている家はありましたが、「かわいいね、なんていう名前なの?」と聞くと、「犬(猫)に名前なんてないよ」と言われたことがありました。そのころはまだ、馬や牛、豚と同じ家畜と同じ扱いのところが多かったのかもしれません。

住宅事情:

ベトナムの都市部ではマンションやアパートも増えていますが、「ペット可」の物件はまだ多くありません。法律上はマンションでのペット飼育を明確に禁止する規定はなく、以前は各住民の裁量に任されていました。しかし近年ではマンションの管理組合がペット規則を設けるケースもあります。たとえばホーチミン市のある集合住宅では「1戸につき犬猫は2匹まで」「ペット1匹ごとに500万ドンのデポジット(預り金)を納める」「違反時は罰金をデポジットから差し引く」など詳細なルールが定められました。共有エリアでは抱きかかえるかケージに入れる、貨物用エレベーターを使う、敷地内で放し飼いにしない等のマナーも求められます。ペット可物件を探す際は事前によく確認し、必要なら仲介業者に「ペット飼育可(Cho nuôi thú cưng)」かどうか問い合わせましょう。なお物件によってはペットOKでもエレベーターを住人と分けるなど独自ルールがある場合もあります。ペット可能の物件だとオーナーに確認したけど入居した後に管理組合で禁止になったコンドミニアムもあります。ペットのマナーも日本のように厳しくなく、ベトナムではリードをつけない、糞尿の始末をしないのが当たり前のようです。

文化と周囲の理解:

ベトナムでは伝統的に犬は番犬として屋外で飼われたり、一部地域では食文化の側面もありました。しかし現在は都市部を中心に「ペット=家族」という考え方が広がり、小型犬のトイプードルやチワワなど可愛がる目的の犬種が人気です。経済成長に伴い、高価な純血種を飼うことがステータスとなり、高級住宅街ではシベリアンハスキーやコーギーといった外国犬種を見かけることもあります。他方で、依然として野良犬・野良猫も少なくなく、狂犬病のリスクもあるため注意が必要です。ペットに対する周囲の理解度は場所によって様々で、犬の鳴き声や排泄物を巡る近隣トラブルも起こり得ます。特に小さな子どもを持つ家庭では、他人の犬に対して「噛まれて狂犬病にならないか」と不安を感じるケースもあります。そのため飼い主側はマナーと安全管理を徹底することが大切です。

法律とマナー:

ベトナムでは犬猫の飼い主に対し、主に狂犬病予防と公共の安全衛生の面からいくつかの規制があります。狂犬病ワクチン接種は法律上ほぼ義務であり、接種していない犬の飼い主には最大300万ドンの罰金が科される規定があります。またハノイ市では2018年から、犬猫の飼い主は地元自治体(街区や町の人民委員会)へのペット登録と定期予防接種が義務付けられました。散歩時のマナーについても政府政令で定めがあり、公共の場で犬にリードを付けず、または口輪(マズル)を装着しないでいると60万~80万ドン(約3,000~4,000円)の罰金とされています。実際には地域によって取り締まり状況に差がありますが、ホーチミン市などでは放し飼いの犬を捕獲し、飼い主が罰金を支払わなければ72時間後に処分する仕組みも存在します。公園や歩行者天国では「ペット立入禁止」「ノーリード禁止」の看板が掲示されており、それでも無視して犬を遊ばせている飼い主もいますが、周囲からの目は厳しくなっています。安全のため大型犬だけでなく小型犬でも必ずリード(必要に応じて口輪)を着用し、排泄物は必ず飼い主が始末しましょう。なお、条例によっては特定の公共エリアでのペット散歩自体を禁止している場合もあります。日本に比べるとペットマナーへの意識は発展途上ですが、法律上は飼い主の責任が定められていますので、現地のルールを守りトラブル防止に努めましょう。

動物病院の現状と日本語対応

ベトナムではペットブームに伴い、動物病院やクリニックの数も大幅に増加しています。ホーチミン市やハノイ市など主要都市には、地元資本から欧米資本まで様々な動物病院があり、簡単な診療から高度な手術まで対応できる施設が揃いつつあります。例えばホーチミン市内には24時間対応の動物病院も登場しており、ペットホテルやグルーミングを併設する所もあります。

ただし、クリニックの質やサービス内容にはばらつきがあるのも事実です。ローカルの小規模病院では「犬は診るけど猫は診ない」といったケースも報告されており、猫を飼っている場合は事前に受け入れ可否を確認すると安心です。一方で近年は外国人や富裕層向けに質の高い医療サービスを提供する病院も増えてきました。ホーチミン市7区にはJapan Animal Hospital(日本動物病院)というクリニックがあり、日本人獣医師や日本語通訳が常駐しています。日本水準の丁寧な診療が受けられるとあって日本人駐在員にも評判で、Googleマップ上では「Sasaki Animal Hospital」と表示されるので名前に注意してください。ハノイ市ではフランス系のASVELIS動物病院が有名で、日本人にも利用者が多いです。ASVELISは狂犬病抗体検査など日本帰国に必要な検査サービスにも対応しており、さらにペットホテル(預かりサービス)も併設しています。同じくハノイのGAIAペットクリニックは日本語を話せる獣医師が在籍し、清潔な施設で安心と日本人利用者に人気です。このように、大都市では日本語や英語で対応できる動物病院も見つかりますが、数は限られるため受診の際は予約時に言語対応を確認すると良いでしょう。

診療費の目安:

ベトナムの動物医療費は日本に比べると概ね安めですが、クリニック間の価格差が大きいです。例えば狂犬病ワクチンは公的な集団接種では1回あたり2万~2.3万ドン(約100~130円)程度と非常に安価に提供されているケースもあります。一般的な個別接種でも数十万ドン(数百円)程度でしょう。一方で診察料や検査料は病院によって異なり、犬のX線一枚が29万ドン~50万ドン(約1,500~2,500円)と場所により倍近い開きがあります。避妊・去勢手術はペットの体重や性別にもよりますが50万~200万ドン(約2,500~1万円)が相場で、帝王切開手術になると250万~350万ドン(約1.3万~1.8万円)と高額になります。入院治療費も1日あたり数十万ドンがかかり、重症治療では合計数百万ドンに及ぶこともあります。このように高度な治療ではそれなりの費用が発生しますが、それでも日本の動物病院よりは割安なことが多いです。ただしベトナムにはペット保険制度が一般的でないため全て自己負担となります。診療前に費用見積もりを確認し、必要に応じて複数の病院を比較検討するとよいでしょう。

ペットホテルや一時預かりサービス

旅行や出張で家を空ける際、ベトナムでもペットホテルや一時預かりサービスを利用できます。都市部では動物病院が併設するペットホテルや、ペットサロンが運営する一時預かり施設が増えており、日本人も利用しやすい環境が整いつつあります。

ホーチミン市では、先述のJapan Animal Hospitalも入院設備を活かして預かりサービスを提供していますし、ペットサロン兼ホテルの「Head to Tail」も人気です。Head to Tailでは5時間や日帰り、1泊からの預かりメニューがあり、料金も比較的手頃です。例えば中型犬(10~20kg)の場合、1泊あたり約38万ドン(約2,200円)で利用できます。施設内は清潔で広々としており、スタッフもペットに慣れているため安心して預けられるでしょう。

ハノイ市では「Pawtaminというペットサロン兼ホテルが知られています。こちらは英語での対応**が可能で、預かり中にペットの様子を写真付きで報告してくれる丁寧なサービスが特徴です。他の預かり中のペットたちと一緒に遊ばせてくれる自由な雰囲気もあり、社交的なワンちゃんネコちゃんには良い刺激になります。

預ける際は予防接種の証明書(特に狂犬病)が求められる場合が多いので準備しておきましょう。また長期旅行の場合、フードやおもちゃを持参できるか、投薬が必要な場合の対応なども事前に相談しておくと安心です。ベトナムではペットシッター個人に自宅に来てもらうサービスは一般的ではありませんが、信頼できる知人やハウスキーパーにお願いするケースもあります。いずれにせよ、ペットホテルを利用する際は事前に評判を確認し、必要なら一度見学して施設の清潔さやスタッフの様子をチェックすると良いでしょう。

犬猫に必要な予防接種とマイクロチップ登録

予防接種(ワクチン): ベトナムで犬や猫を飼う場合、まず最優先すべきは狂犬病の予防接種です。ベトナムは残念ながら狂犬病の常在国で、毎年数十人が狂犬病で亡くなり、咬傷事故も数十万件発生しています。そのため生後3か月を過ぎた犬猫には狂犬病ワクチン接種が義務付けられており、各地の獣医局が毎年集中的な予防接種キャンペーンを行っています。犬の飼い主は年1回の狂犬病ワクチンを必ず受けさせ、動物病院や保健所で発行される接種証明書(ステッカーやカード)を保管しておきましょう。未接種のまま飼育していると罰金対象にもなり得ます。

加えて、犬の場合は混合ワクチン(5種〜7種)の接種も強く推奨されます。ジステンパー、パルボウイルス感染症、伝染性肝炎、パラインフルエンザ、レプトスピラ症など、日本と同様のコアワクチンを接種することでこれら致死的疾患を予防できます。子犬期に初回シリーズ接種を行い、その後は年1回の追加接種を受けるのが一般的です。猫の場合も3種混合ワクチン(猫ウイルス性鼻気管炎、カリシウイルス、汎白血球減少症など)や、必要に応じて猫白血病ワクチンを接種しておくと安心です。これらは義務ではありませんが、特に他の動物と接触する機会があるペットには必須の予防策と言えます。

寄生虫予防: 熱帯のベトナムではノミ・マダニが一年中発生します。散歩中や外出時に寄生されるリスクが高いため、月1回のノミ・ダニ予防薬(スポットタイプや経口薬)を忘れず投与しましょう。また蚊を媒介とするフィラリア症(犬糸状虫症)も常在しています。犬はフィラリア予防薬を通年で投与することが推奨されます。動物病院で錠剤やチュアブル剤を入手できます。猫もフィラリアに感染することがあるので、屋外に出る猫には予防が望ましいです。さらには回虫・条虫など内部寄生虫の駆虫薬も定期的に投与すると良いでしょう。

マイクロチップ登録: 日本では近年ペットへのマイクロチップ装着と登録が義務化されましたが、ベトナムでは現状、一般家庭の犬猫にマイクロチップ装着が義務付けられてはいません。自治体による犬籍登録は進められているものの、マイクロチップまで普及しているとは言い難い状況です。ただし、海外からペットを持ち込む場合や、将来日本へ連れ帰る予定がある場合はマイクロチップ装着が必須となります。日本への輸出入手続きでは個体識別のためチップ番号が求められるからです(詳細は後述)。そのため、日本から渡航する時点でISO規格準拠の15桁マイクロチップを装着しておくことを強くおすすめします。実際、ベトナム入国時にはマイクロチップの有無を検査されないことも多いようですが、帰国時に必要になるため事前に付けておくほうが良いでしょう。

マイクロチップ自体は現地の大きな動物病院でも装着できますし、日本から輸入したペットなら既に付けてある場合もあります。装着後はベトナム国内に公式登録制度はありませんが、迷子対策として飼い主情報を登録できる国際データベース(例えば「ペットマイクロチップ登録検索(ISOOnline)」など)に登録しておくと安心です。また名札や迷子札を首輪に付けて連絡先を明示しておく基本的な対策もお忘れなく。

ペットの輸出入(日本↔ベトナム)の手続き

海外赴任や帰国にあたって、愛するペットを日本とベトナム間で連れて移動する場合の手続きを説明します。輸出入条件は国によって異なるため、十分な準備期間を持って進めましょう。

日本からベトナムへ連れて行く場合

日本にいるペットをベトナムに持ち込むには、主に日本出国時の検疫手続きベトナム入国時の書類提出が必要です。幸い2匹までの犬猫であればベトナム側の輸入許可証(インポートペーミット)は不要とされています。以下が主な手順です。

  • 狂犬病予防接種: ベトナム政府は入国の少なくとも30日前〜1年以内に狂犬病ワクチンを接種していることを求めています。3年免疫のワクチンであってもベトナムでは1年以内でないと認められないため注意しましょう。証明として英文の狂犬病予防接種証明書または国際予防接種証明書(イエローブック等)を用意します。
イエローカード
  • その他のワクチン: 狂犬病以外に義務ではありませんが、犬の場合はジステンパーやパルボなど、猫はウイルス性鼻気管炎などのワクチン接種証明も健康証明書に記載しておくことが推奨されています。現地での健康のためにも済ませておきましょう。
  • 獣医師の健康診断書: 出発前10日以内に、日本のかかりつけ獣医師による健康診断を受け、英文の健康証明書(Health Certificate)を発行してもらいます。ここに前述のワクチン接種履歴も記載してもらいます。
獣医師の健康診断書
  • 日本の輸出検疫証明書の取得: 日本からペットを輸出する場合、農水省の動物検疫所で輸出検査が必要です。渡航7日前までに最寄りの空港検疫所に申請(輸出検査申請書の提出)を行い、出発当日にペットを連れて検査を受けます。書類審査と簡単な健康チェックの後、日本政府発行の輸出検疫証明書(英語)が交付されます。この証明書には狂犬病など必要事項が記載され、ベトナム入国時に提出する重要書類となります。
  • 航空会社への事前連絡: ペットを飛行機に乗せるには予約時または出発前に航空会社への申告が必要です。多くの航空会社では機内持ち込みできるペットの数やサイズに制限があります。ベトナム航空の場合、客室持ち込みはケージ含め6kgまで可能で、手荷物扱い料金は国内線5,000,000ドン(約3万円)、日本線は400USD(約6万円)です。Vietjet(ベトジェット)航空は国内線限定で7kgまで客室持ち込み可、料金は1ペットあたり4,000,000ドン(約2.4万円)です。利用航空会社の最新規定を確認し、必要なペット用クレート(IATA基準)を用意しましょう。
  • ベトナム入国時の手続き: ハノイやホーチミン市の空港に到着したら、動物検疫のカウンターまたは入国審査官にペット同伴であることを申告します。提出書類は「日本の輸出検疫証明書」「狂犬病証明書(証明書に含まれていれば別途不要)」「機内持込の場合は搭乗証明」などです。通常は書類確認と簡単なペットの健康状態チェックで済み、そのまま入国が認められます。検疫官からベトナム側の輸入検疫証明書(Import Certificate)を交付されますので、これは後日ペットをベトナムから出国させる際に必要になるため大切に保管してください。書類不備やペットが明らかに病気の場合を除き、検疫所での隔離や留め置きは通常ありません。

ベトナムから日本へ連れて帰る場合

ベトナムで飼ったペットやベトナム在住中に家族となったペットを日本に連れて帰国する手続きは、日本の厳格な輸入条件を満たす必要があり非常に時間がかかります。日本は狂犬病清浄国のため、ベトナム(狂犬病流行国)から犬猫を入国させるには最低でも6ヶ月以上の準備期間が必要です。主な要件と流れは以下の通りです。

  1. マイクロチップ装着: 個体識別のためISO規格のマイクロチップを装着します。これはすでに述べた通り、ペット購入時やワクチン接種時に済ませていることが多いですが、未装着なら速やかに装着しましょう。チップ番号は以降の証明書類に全て記載されます。
  2. 狂犬病ワクチンを2回接種: マイクロチップ装着後に、狂犬病不活化ワクチンを2回受けます。1回目接種時はペットが生後91日以上である必要があります。1回目接種から30日以上空けて2回目を接種し、かつ両方とも有効期間内であることが条件です。日本入国までワクチンの有効期限が切れないよう、必要に応じて追加接種も検討してください。
  3. 狂犬病抗体価検査(血清中和抗体検査): 2回目の狂犬病ワクチン接種後、30日以上経過してから獣医師に採血してもらい、血清を日本農水省が指定する検査機関へ送付し抗体価検査を行います。結果が0.5IU/ml以上であれば合格で、検査機関発行の証明書が出ます(抗体価結果は2年間有効)。ベトナム国内にも提携機関がある場合がありますが、多くは海外送付となるため時間に余裕を持ちましょう。
  4. 180日間の待機期間: 抗体検査の採血日を0日目として180日以上、日本へ出発まで待機しなければなりません。この待機はベトナム国内で過ごす必要があります。もし180日を満たさずに日本に到着すると、不足日数を日本の指定施設で隔離検疫されてしまいます。したがって帰国が決まっていなくても、将来日本に戻る可能性があるならペットが若いうちに2回目の狂犬病ワクチンと抗体検査まで済ませておくことを強くおすすめします。
  5. 日本への事前届出: 日本入国予定日の40日前までに、到着空港の動物検疫所へ輸入の届出(事前通知)を行います。必要事項を記載した輸入届出書を提出すると、後日「届出受理書」が発行されます。これは入国時に提示する書類の一つです。
  6. ベトナム政府発行の輸出証明書取得: ベトナム出国前に、現地の政府機関から公式の輸出用検疫証明書を発行してもらいます。通常は信頼できる民間獣医師に英語の書類(日本指定様式のForm AやCなど)を作成してもらい、それを持ってベトナムの政府検疫所(例:空港検疫事務所)で裏書きを受けます。これにより日本の要件を満たす公式証明書となります。内容にはマイクロチップ番号、狂犬病ワクチン接種日と製剤情報2回分、抗体検査結果、健康状況などが盛り込まれます。念のため、当初日本からベトナムへ連れて来た際の日本発行「輸出検疫証明書」のコピーも携行するとスムーズです。

以上の書類を揃えた上で、ペットを連れて出国日当日に空港へ向かいます。航空各社のペット輸送ルール(機内持込や貨物室輸送の条件)は事前に確認し、予約しておきます。ベトナムの大手航空や日系航空はペット輸送の実績がありますが、夏季の暑い時期は貨物室でのペット輸送を制限する場合もあるので計画時期にもご注意ください。

日本到着後の流れ: 日本の空港に着いたら、動物検疫所で輸入検査を受けます。提出書類はベトナム政府機関の証明書(輸出証明書)、抗体検査結果通知書(オリジナルまたはコピー)、事前届出受理書などです。係官が書類審査とマイクロチップの読取り確認を行い、全て条件を満たしていれば最短で数時間以内に検査完了し、そのままペットと一緒に帰宅できます。条件不備や書類不足があると最大180日間の係留検査(隔離)が課されるため絶対に漏れのないようにしましょう。稀に条件を満たしていても検疫所がサンプル検査として再度採血検査を行う場合もありますが、その場で問題なければ即時解放されます。

帰国後は、日本の狂犬病予防法に基づき犬は市区町村への登録と鑑札交付、年1回の狂犬病予防接種が必要になります。長旅を終えたペットをまずは家でゆっくり休ませてあげてください。

※手続きサポート: これら輸出入手続きは非常に煩雑なため、不安な場合は専門のペット輸送代行業者(引越し業者のペット部門など)に相談するのも手です。書類の翻訳・認証や各国検疫所との連絡を代行してくれるサービスもあります。費用はかかりますが、言語の壁や手続きミスのリスクを減らせるでしょう。

日本とベトナムのペット事情の違い

最後に、日本とベトナムのペットを取り巻く環境や文化の違いについてまとめます。両国の違いを理解しておくと、現地でのペットライフに戸惑うことも減るでしょう。

ペットフード・用品の入手性: 日本では国産・海外ブランド問わず多種多様なペットフードが手に入りますが、ベトナムでも主要都市であれば質の高いフードが入手可能です。ホーチミンやハノイにはPet MartPet Mallといった大型ペット用品チェーンがあり、犬猫のエサ、オヤツ、シャンプー、トイレ用品からおもちゃまで一通り揃います。特にフードに関しては日本、カナダ、韓国など外国製ブランド品が多く販売されており、「日本と同じメーカーのものが買えた」という声もあります。Pet Mall(ホーチミン市タオディエン地区)では日本製品も多く扱っており、日本品質を好む飼い主にも好評です。またShopeeなどのECサイトでもペット用品が豊富に出品されており、オンライン購入も便利です。一方、獣医療品や高度な介護用品などは日本ほど多くないため、必要に応じて日本から取り寄せることも検討しましょう。

飼育マナーと公共マナー: 日本では「他人に迷惑をかけない」がペット飼育の大前提で、リード着用やフンの持ち帰り徹底はもちろん、無駄吠えしないしつけや、マンションでのペット可ルール遵守が飼い主の責務となっています。ベトナムでも都市部では意識が高まりつつありますが、全体として日本ほど厳格には浸透していないのが現状です。例えば、散歩中の犬のフンをそのまま放置している地元の人もまだ見かけますし、上記のように公園でノーリード・口輪なしで犬を遊ばせているケースもあります。日本人としては気になる点も多いでしょうが、だからこそ自分自身は率先してマナーを守ることが大切です。フン処理用の袋を常に持ち歩き、周囲の人に吠えかかったり飛びついたりしないようなしつけを心掛けましょう。また、日本ではペットOKのカフェやドッグランが充実していますが、ベトナムではペット同伴可の公共スペースは限られる印象です。先述のように一部の歩行者天国や公園ではペット禁止ですし、公共交通機関も基本ペット不可です。その代わり、都市部には犬カフェ・猫カフェが登場しており、自宅で飼えない人でも動物と触れ合える場が提供されています。ホーチミン市内のとある猫カフェでは、お茶を飲みながら時間無制限で猫たちと遊ぶことができ、多くの若者や家族連れで賑わっています。※ただし日本と違い、店内の動物がきちんと予防接種を受けているか不明な場合もあるので、心配な人は店員に「この子たちは狂犬病ワクチン打っていますか?」(ベトナム語例:Đã tiêm phòng dại cho mèo/chó này chưa?)と確認するのも良いでしょう。

周囲の理解度・文化の違い: 日本ではペットへの配慮(例:犬嫌いな人への気遣い、アレルギーへの配慮など)や飼い主同士のマナー意識が高いですが、ベトナムでは地域社会でそこまで細やかな配慮を求められることは少ないです。その代わり、近隣との付き合いの中で暗黙の了解が形成されることがあります。例えば「昼は犬を外につないでおいても何も言われないが、夜中の鳴き声には苦情が来る」といったケースもあるでしょう。日本以上に隣人との直接的なコミュニケーションが解決の鍵となる場面もあります。騒音や匂いには注意しつつ、何かあれば笑顔で謝るなど良好な関係作りを意識してください。

また、ベトナムでは依然として犬猫の迷子や盗難リスクにも注意が必要です。放し飼いにしている犬猫がそのまま行方不明になってしまうケースや、不心得者による盗難(犬肉目的など)が報道されることもあります。日本では考えにくいことですが、ベトナムでは外につないでおいた犬が盗まれる事件も現実に起きています。大切なペットを守るため、敷地内であっても放し飼いにしない・長時間目を離さないことが肝心です。万一迷子になった際に備え、先述のマイクロチップや首輪タグは必須と言えるでしょう。

動物愛護意識の違い: 日本では動物愛護管理法が整備され、遺棄や虐待は厳罰に処されます。ベトナムにも動物福祉に関する規定は存在しますが、日本ほど細かくはなく、繁殖市場やペットショップの管理も発展途上です。ペットの里親文化も徐々に育ちつつあり、ホーチミン市のARC(Animal Rescue & Care)のように捨てられた犬猫の保護活動を行う団体もあります。ARCでは日本人スタッフ・ボランティアも活動しており、日本語での相談や里親募集情報の提供も行っています。ベトナムでペットを迎えたい場合、こうした保護団体から里親になる選択肢も検討してみてください。保護犬・保護猫を引き取ることで命を救うことにも繋がります。

まとめ: ベトナムでのペットとの生活は、日本とは異なる点も多く最初は戸惑うかもしれません。しかし、ペットはかけがえのない家族です。しっかりと法律やルールを守りつつ、現地のサービスもうまく活用すれば、安全で楽しいペットライフを送ることができます。異国の地での飼育には苦労もありますが、その分発見や喜びも大きいはずです。本記事の情報を参考に、ぜひベトナムで素敵なペットライフを始めてください。